仏像・木彫像の修復
仏像を主とした木製彫刻の修復を行います。現状維持を基本方針とし修復を行っています。
修復の流れ
(1)修復のご相談 修復概算見積作成
お電話またはメールにて、お分かりになる範囲でお像の状態・ご希望の修復内容をお知らせください。
以下をメールにてお送りいただけましたら、修復概算見積を作成いたします。
① お像全体が写る正面写真。可能であれば背面写真もいただけると助かります。
② 損傷箇所や修復希望箇所の接写。
③ お像のみの高さ。台座と光背込みの高さ。
④ お像の所在地
写真をお送りいただく場合は、お使いのメールサービスから info@tsuneyoshinakamura.com へお願いいたします。
修復概算見積を作成するにあたり、実際にお像を拝見させていただく場合もございます。その場合、交通費・人件費等が発生する事があります。
(2)修復見積・修復方針の確認
修復概算見積を元に、修復方針をご相談させていただきます。
必要な場合は修復見積を再度作成します。
ご承認いただけましたら、搬出の日程やその後の流れの打ち合わせを行います。
(3)搬出
お像の搬出を行います。当方で梱包作業を行い工房へ運送します。
(4)修復作業
当方では、お像のもつ歴史的な価値を尊重し現状維持修復を基本としております。ただし、彩色や漆箔が後世に施されたもので、かつ修復不可能なほど劣化が進んでいる場合、依頼者様と相談の上、塗り直しの修復も可能です。
主な作業工程は以下の通りです。 ※処置はお像によって異なります。
① 修復前写真撮影:修復前の状態を記録します。
② クリーニング:お像に積もった埃や汚れを除去します。
③ 剥落止め:剥落や浮き上がりが見られる彩色や漆箔を、膠で接着します。
④ 含浸強化:弱くなった彩色や、虫損や腐朽などによって脆弱化した木部に、膠や樹脂を浸透させ強化します。
⑤ 解体:緩んだ部材を一度解体し、古い接着剤などを除去します。
⑥ 補作:失われた箇所をヒノキや漆を用い制作します。
⑦ 組み上げ:お像の各部材を改めて組み上げます。
⑧ 仕上げ:尊容を考慮しながら、新しく手を加えた箇所を中心に彩色や古色を施します。
⑨ 修復後写真撮影:修復後の状態を記録します。
(5)搬入(納品)
修復を終えたお像をご依頼主様のもとへお返しします。
ご希望の場合は修復報告書を作成します。 ※別途費用が発生します。
修復参考写真
不動明王坐像 修復
〔修復箇所〕
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全体をクリーニング。
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本体を解体。
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剥離した彩色を膠で接着。
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ヒビや隙間などを木屎漆で充填。
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台座の虫食い穴を充填後、木屎漆やヒノキで整形。
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光背の一部、弁髪、衣の一部、羂索などの欠損箇所を制作。
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亡失した飾り金具を制作。古色仕上げ。
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彩色剥落箇所に胡粉で下地を付け、補彩。
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修復箇所を補彩。古色仕上げ。
修復前
修復後
阿弥陀三尊像 修復
〔修復箇所〕
3像本体
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後補塗膜を可能な範囲で除去。
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解体後、欠損・亡失箇所を修復。
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錆漆下地の後、古色仕上げ。
台座
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クリーニング後、塗膜を剥落止め。
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剥落した金箔部分は、胡粉下地の後金泥で補彩。
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踏割蓮華を新しく制作。
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全体の緩みや歪みを修復。
修復前
修復後
半託迦尊者 修復
〔修復箇所〕
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緩んでいる部材を解体。
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全体をクリーニング。
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剥がれたり浮いている塗膜を膠で接着。
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無くなってしまった、左腕から先、右手指、持物をヒノキで制作。
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部材を組み上げ後、制作した部分に錆漆で下地付け。
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制作した部分を古色。
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台座を制作。
修復前
修復後
伐闍羅弗多羅尊者 修復
〔修復箇所〕
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緩んでいる部材を解体。
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全体をクリーニング。
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剥がれたり浮いている塗膜を膠で接着。
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無くなってしまった、右腕、両手先、持物、足先および裾先、背面材、両腰三角材をヒノキで制作。
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部材を組み上げ後、制作した部分に錆漆で下地付け。
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制作した部分を古色。
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台座を制作。
修復前
修復後
修復前
十一面観音菩薩坐像 修復
〔修復箇所〕
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頂上仏、頭上面6面、化仏、両手先をヒノキで制作し、古色仕上げ。
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額と鼻先の彩色剥落箇所を補彩。
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脱落や緩んだ装身具を取り付け。
修復後
観音菩薩立像 修復
〔修復箇所〕
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後補の塗膜を除去。
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両肘から先をヒノキで制作。
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台座をヒノキで制作。
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制作した箇所を本体に合わせて古色。
修復前
修復後
撮影 : 大屋 孝雄
勢至菩薩立像 修復
〔修復箇所〕
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後世の彩色および漆箔を除去。
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失われた光背、蓮弁の半数、髻、装身具、両天衣を制作。
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敷茄子、反花、框は後世に塗られた漆が脆くなっていたため、黒漆仕上げに塗り直し。
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衣部分は漆箔古色、それ以外は古色彩色仕上げ。
修復前
修復後
阿弥陀如来立像 修復
〔修復箇所〕
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全体を解体。
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全体をクリーニング。
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脆弱な後補塗膜を除去。
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本体背面の日割れをヒノキで補修。
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欠損箇所(鼻・唇先端・両袖・両手指の一部・光背の一部・台座の一部)をヒノキで制作。
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後世に誤って接着された台座を、正しい位置に接着。
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全体を組み上げ。
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制作した部分および光背・台座を、本体に合わせて古色。
修復前
修復後
毘沙門天立像 修復
〔修復箇所〕
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近世に造られた岩座の高さが高く、厨子に合っていないため、岩座と台座を制作。
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同じく近世に造られた両手先と宝塔が本体と合っていないため、制作。
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光背と戟を制作。
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制作した部分は漆下地の後、本体に合わせて古色。
修復前
修復後
加藤清正像 修復
〔修復箇所〕
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全体をクリーニング。
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全体の彩色を膠で含浸強化。
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両手先、笏、かんざし、台座の一部を制作。
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彩色の剥落した部分を補彩。
修復前
修復後
獅子 修復
修復前
〔修復箇所〕
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全体をクリーニング。
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浮いている彩色と漆箔を膠で接着。
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虫穴を埋め、古色を施す。
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両足先を解体し、再接着。
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左眉と左顎の一部をヒノキで制作。
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自立できるよう、台座と金属製の支柱を制作。
修復後
撮影 : 大屋 孝雄
円空作 如来坐像 修復
〔修復箇所〕
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全体に虫損による穴が多数あったため、膠・砥の粉・マイクロバルーンを混合したものを注射器で充填。穴は完全には埋めず、少し凹みがある程度とし、古色を施す。
修復前
修復後